消費税はなぜ必要なのか? 廃止すべきでは? 本質的な理由は?

雑記

消費税10%は私たち庶民の生活への影響も小さくありません。そして、インボイス制度の導入で小規模企業はもちろん、大企業もシステムの更新など大忙しです。そもそも消費税はなぜ必要なのか、所得税だけにした方シンプルで公平ではないかとも思ったので、整理してみました。

消費税率の推移

まず、消費税率の推移をおさらいしておきましょう。

消費税は、竹下登内閣のときに成立しました。当初、税率を3%として、1989年(平成元年)4月から実施されました。

その後、1997年に5%、2014年に8%となり、安倍晋三内閣のもとで、2019年10月から現在の10%になるというように、徐々に上がってきています。

このまま上がり続けて、消費税が15%いや25%のような時代がくるのでしょうか?

消費税が必要とされた理由・背景

消費税が必要となった理由は以下のとおりであると考えられます。

  • 少子高齢化へ向けた社会保障等の財源確保
  • 租税負担のバランスを図るため
  • 勤労意欲をそがない
  • 脱税が難しい
  • 物品税のデメリットの排除

それぞれ相互に関係があるので、実質的は重複している部分もあるかもしれませんが、ポイントとなると思ったところをとりあげました。

少子高齢化へ向けた社会保障および少子化対策の充実(財源確保)

消費税は社会保障のために使われるというのは、よく知られています。これは、下記のとおり、消費税法にて明示されているのです。

(消費税法第1条第2項)
消費税の収入については、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)に定めるところによるほか、毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする。

まさに、これが消費税の目的であり理由でもあります。もっとも、この目的を達成するだけならば、所得税を増やしてもいいし、相続税や不動産の保有にかかる税金を増やしてもいいのです。では、なぜ、あえて消費に税金をかけることになったのでしょうか?

租税負担のバランスを図る

租税いわゆる税金には、大きく、所得にかかるもの(所得課税)、資産にかかるもの(資産課税)、そして消費にかかるもの(消費課税)があります。

このうちどれか一つで済むのであれば、それがシンプルで効率的ですね。しかし、現実はなかなかそうはいきません。

所得課税だけだとすると、たとえば相続資産がたくさんある人は、多くの消費をして裕福なくらしを過ごしているにもかかわらず税金負担が小さいことになる。生まれたときにもつ財産の相違がどんどん大きくなり格差社会をうむでしょう。

また、働いても働いても税金でもっていかれるとなれば、勤労意欲をそぐことになります。そして、不公平感もつのることでしょう。

一方、財産課税だけだと、働いてお金を儲けてどんどん消費する人は、保有する財産としては大きくなにので、租税負担が小さくなります。儲けなければ、税金で財産はどんどん減っていきます。こう考えると、勤労や投資を推奨する観点からは、まんざら不合理でもないような気もしてきます。

しかし、そもそも税金は国が国民の社会生活のために資するために徴収するものであることをふまえると、財産をもっているだけで何もしなければ、社会的な行動をしていないので税金を負担する理由も相対的に小さいと考えることができるのではないでしょうか。

また、現実的に考えると、たとえば65歳で退職して退職金でその後の生活をおくろうとしてる人が、その資産に毎年税金がかけられるとなると、退職後の不安が大きく、人生の設計も大変になるでしょう。

最後に、もし消費課税だけだとしたら、消費しない人は、税金を負担せずお金がたまり続けることになります。もちろん、まったく消費しない人はいません。しかし、消費の収入に対する比率に注目すると、たくさん収入がある人ほど小さくなる傾向にあります。すなわち、たくさん収入がある人は、消費しない傾向にあり、お金がたまります。そうすると、いわゆる格差が広がるのを助長してしまいます。

ということで、どれか一つだけでは不適切であることは明らかではないでしょうか。

もっとも、所得課税と資産課税で十分なのではないかという疑問があります。

勤労意欲を害さない・日本での労働力を確保する

所得課税では、お金を稼ぐと稼ぐだけ税金がかかるので、あまりに過重になると、勤労意欲を失わせる原因になります。

また、グローバル社会の中では、稼いでも税金でもっていかれる国より、税負担の低い国で生活したいと考えるのも自然であり、日本からお金を稼げる・税金を払えるという意味で有能な人が離れていってしまうことにもつながるでしょう

税を徴収しやすく、かつ、取り扱いが公平

税の徴収側からみた消費税の一つの魅力としては、税を徴収する仕組みの中に複数の者がかかわり、基準がある程度はっきりとしているため、いわゆる脱税が困難なことがあげられます。ある意味で、これは公平であることを示します。

一方、所得税は、サラリーマンならともかく、中小企業の経営者などには、経費扱いにできる範囲も必ずしも明確でなく、相対的に見て、脱税とまではいわないとしても、税負担を軽減する策をほどこすことがしやすいです。

物品税のデメリットを解消

シニアの方は記憶にあるかもしれませんが、実は消費税がつくられる前にも、一部の贅沢品・高額消費(毛皮製品やゴルフ用品など)に消費税と同じような形でかかる物品税という税金がありました。

しかし、社会全体のくらしが良くなってくる中で、贅沢品として消費税がかかるものと、かからないものとの区別の曖昧さ・難しさが問題となっていました。

消費税においても、かかるものとかからないものとの区別はありますが、贅沢品かどうかというような区別ではないため、相対的にはわかりやすくなっていると思います。

まとめ

消費税が必要となる理由を再掲します。

  • 少子高齢化へ向けた社会保障等の財源確保
  • 租税負担のバランスを図るため
  • 勤労意欲をそがない
  • 脱税が難しい
  • 物品税のデメリットの排除

消費税など廃止した方がいいという意見もありますが、やはり租税負担のバランスを図るためには、ある程度の消費税は必要なのかもしれませんね。

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